噛む力や飲み込む力が弱い人の食事の注意点や対策は?

噛む力や飲み込む力が弱い人の食事の注意点や対策について気になったので調べてみました。

亡くなった母も、飲み込む力が弱ってしまって、介護施設のスタッフに強く勧められて胃瘻手術をしましたが、とても辛そうでした。

胃瘻手術で1年間寿命が延びたのかもしれないですが、家族としては複雑な思いでした。

そこで老化なので仕方がないと諦めずに今後の事も考えて、噛む力や飲み込む力が弱い人の食事の注意点や対策について詳しく知りたいなと思ったわけです。

家族や自分が嚥下困難になる前に、予防できたり対策できるなら実践したいですよね。

長文になるので時間がない場合は、ブックマークなどして後からゆっくりご覧ください。

噛む力や飲み込む力が弱い人の食事で注意したい事

ポイント

家族の食事を見ていて、いつまでも終わらないのではないか、と感じたことはありますか?

歯が弱いのか噛み切ることができなかったり、いつまでも口の中をもごもごと動かしていたり。

もちろんその人の歯や口内に悩みがあるからかもしれませんが、それは同時に、家族側の人たちも一緒に対処して欲しい問題でもあります。

そのままにしてしまえば、結局食べきれずに戻してしまったり、意図せず飲み込んで器官に入る、喉を詰まらせるといったトラブル(嚥下困難)があるからです。

料理の材料や調理の仕方など、家族側でサポートしてあげることによって、食べやすさは変わってきます。

噛む力や飲み込む力が弱い理由や対処方法と共に、食事面で家族や介護者がサポートできること、注意点などがないか見てみました。

高齢だと咀嚼・嚥下機能が低下しやすいのは何故?

特に年齢を経てくると咀嚼や嚥下がゆっくりになることが多いです。

原因は色々ありますが、1つは歯の減少

むし歯などのトラブルに限らず、年齢を経ると歯の本数は減ってきますよね。

食べ物をかみ砕ける歯が少なくなれば、口に入れたものを飲み込むのにも時間がかかります。

入れ歯という手段もありますが、人工的な入れ歯は本来の歯に比べて、噛む力は半減してしまうのだそう。

歯医者さんなどで、8020運動のポスターを目にしたことがありませんか?

80歳になっても20本以上の歯をというのは、入れ歯よりも本来の歯の方が咀嚼しやすいからでもあります。

また高齢になると筋力の低下も言われますが、喉の筋力もまた低下

ゆえに細かくかみ砕いていないものは喉を通りにくく、そのためにより咀嚼が必要になります。

それがかみ砕くのに時間がかかるという歯の減少と相まって、一層時間がかかるんです。

加えて、咀嚼や嚥下をサポートする唾液の量も、高齢になると少なくなります。

薬などを水で流し込むように、今までは唾液によって多少の大きさ・固さの食べ物も飲みこめていたはずが、不可能になってしまうんです。

高齢でも噛む力や飲み込む力を強化する事は可能?

いいの?

ただ高齢だから仕方がないと、何もしないままでは益々弱くなっていきます。

若い頃と同等とまではいかなくても、日ごろから意識して対策することで噛む力や飲み込む力を高めることは可能です。

1番大事なのが、食事の際の咀嚼回数

よく「1口30回は噛みなさい」と親が子どもに言う場面がありますが、これは子どもに限った話ではありません。

むしろ大人の方が、忙しい毎日の中で咀嚼回数をおざなりにし、飲み込めない時は飲料で無理に流すことで噛む力を衰えさせている可能性が高いぐらいです。

力を入れて早く噛めというわけではありません。

ゆっくりでも構わないので、まずは1口30回を意識して食べてみましょう。

何なら自分で、あるいは家族に、1度咀嚼回数を数えてもらうのも手です。

また飲み込む力については、口内及び舌のトレーニングでケアできることも。

方法は簡単で、口を大きく開け、パ・タ・カ・ラそれぞれの音を発するだけ

パは発音時に唇を閉じる動きを、タは舌が上あごにつき押す力を、カは喉奥の筋肉を、そしてラは舌を反らせて動かすトレーニングになっています。

1音につき5回ほど連続して言うのが1セットで、初めはゆっくり、次第に早く発音できるようになるのが目標です。

一方顎や口全体のトレーニングとして、あ・い・う・え・おの発音で口を大きく開ける、口を閉じた状態で頬を片方ずつ膨らませたり、すぼませる動作を行うのもおすすめです。

口の周りにある表情筋を動かすことで、舌や歯の動かしやすさ、唾液の分泌に繋がります。

もし余裕があれば、歯医者などを受信し、専門家のアドバイスを得るのも手です。

入れ歯や歯並びによるかみ合わせの問題はもちろん、唾液の分泌などの口内ケアをキープする方法を、個人個人に適した形で知ることができます。

若い時から噛む力や飲み込む力低下を予防するには?

もし高齢の方でなく、将来に備えて噛む力や飲み込む力の低下に対策したいと思ったら、生活習慣を見直してみましょう。

例えば食事においては、病気でもないのに柔らかいものしか食べていないという方。

歯ごたえのない食事では、歯は鍛えられず噛む力も弱まる一方です。

またイライラすると爪を噛んでしまう方や、考え事をする際など頬杖をつくことが多い方も注意。

爪を噛むことは一見すると噛む力を高めそうですが、歯の歪みや歯並びを乱す可能性があります。

また頬杖をつくことが多いと、顎全体を歪ませ、やはり歯並びに影響が。

歯並びは見た目の問題だけでなく、きちんとかみ合わせができなくなり、歯を弱くすることに繋がるんです。

お子さんがいる方は、幼いうちからこれらの癖が無いかも見守ってあげるとよいでしょう。

癖と言えば、口呼吸が中心になっている方も注意が必要です。

口呼吸は口を常に開けた状態にしているため、口の筋肉が低下しがち。

そこから間接的に、繋がっている歯にも影響が出てしまいます。

臭いが気になるなど、どうしようもない場合を除き、鼻呼吸に戻すことを意識しましょう。

誤嚥(ごえん)しない為の調理方法は?

疑問

咀嚼や嚥下する力が弱まっていると、時に誤嚥することもあります。

誤嚥は文字通り、誤って嚥下してしまうことですが、これは必ずしも飲み込む力だけの問題とは限りません。

というのも、咀嚼で料理をきちんとかみ砕き、飲みこめるように口の中のものをまとめることができていないケースもあるからです。

咀嚼は噛むだけが目的ではなく、飲みこみやすいよう調整する役目も含まれています。

噛むことは歯が行いますが、まとめるのは主に舌の役目。

しかし舌の筋力低下などの理由でうまくまとめることができず、誤嚥に繋がってしまうんです。

ゆえに誤嚥することが多い場合、必要以上に食材を細かくしないのも手。

切り刻んでしまうと、それらを飲みこめるよう口内でまとめるのに時間がかかってしまい、誤嚥がなくてもずっと口をもごもごさせている状態が続きます。

また小さすぎた食材が、うっかり喉に詰まってしまうことも。

対策としては普段の食事に比べて一回りだけ小さくする、大きさはそのままに煮込んで柔らかさを高める、片栗粉などでとろみをつけるなどが挙げられます。

圧力鍋で作ると美味しいバランスが良いレシピは?

素材の小ささ・柔らかさを考えたメニューはなかなか大変です。

そんな時は圧力鍋でサポートしてもらいましょう。

本来はほかの道具を使う料理でも、圧力鍋を利用することで簡単に作れることもあります。

例えばキノコをメインにしたポタージュ

材料はしめじやエリンギといったキノコ類のほか、玉ねぎや大豆も入れて栄養バランスを整えます。

圧力鍋の出番は主に大豆をゆでるタイミング。

圧力鍋を使うことで大豆をペースト状にしやすくなります。

ほかの食材はカット後炒め、圧力鍋から出した大豆と共にミキサーでペースト状にすれば完了です。

素材に大豆が含まれていますが、牛乳ではなく豆乳を使うとさらに栄養もアップです。

簡単なものでは、茶わん蒸しならぬ卵蒸しもおすすめ。

茶わん蒸しは具材によっては食べづらさを感じることがあるので、卵と出し汁のみで作るのがおすすめです。

溶いた卵と出汁を茶わん蒸し用の器に注いで圧力鍋の中へ入れ、10分ほど蒸せば完了。

好みで醤油と出汁ベースのあんを加えてもおいしいです。

あんは片栗粉でとろみがあるので、嚥下もしやすいのがポイント。

噛みにくい、喉につかえやすい、むせやすい要注意食材は?

選び方

噛む力や飲み込む力を鍛えることも大事ですが、無理に食べにくい食事をすることはありません。

例えばキャベツやレタスなどサラダに出やすい生野菜

特に中心の繊維質の部分はより硬いので、咀嚼にも時間がかかります。

硬くはないものの、弾力のあるコンニャクなども食べにくい食材です。

また食感だけなら柔らかいはんぺんやがんもも注意。

これらの食材には水分が少なく、むしろ口内の唾液を吸い取ってしまいます。

噛む力や飲み込む力が弱い人の介護者が気をつけたい事

噛む力や飲み込む力が弱っている本人だけでなく、その家族など介護をする方も食べやすいようサポートしてあげましょう。

例えば料理は基本、一口大にカットすること。

上下でおすすめ、あるいはNGの料理・食材について触れていますが、何よりもまず咀嚼しやすいサイズに整えてあげることが大事です。

さらにその一口サイズにも、切り込みを入れてあげることで一層食べやすくなります。

肉類はミンチ状にしたり、叩いて柔らかさを高めるのもおすすめ。

また魚を含め、筋や皮など噛み切れない部位は取り除いてあげましょう。

もし調理方法が煮込みであれば、歯ではなく歯茎でかみ砕き、飲みこめるぐらいまで煮詰めてあげるのがベストです。

問題なければ素材をカットではなく、ミキサーなどですりつぶしてしまうと手間も省けます。

一方あまりさらっとした食感だと、料理が口の中に留まらず(唾液での消化がされず)に喉へと行ってしまうので、片栗粉やゼラチンなどを加えて料理にとろみを出して上げるのもおすすめです。

料理以外では、食べる時の姿勢にも注目。

介護する方が食べることは自分でできる場合は、背筋を伸ばして90度、ベッドで介護者が食べさせる場合は仰向けで30度ぐらいを目安にしましょう。

姿勢が悪いときちんと咀嚼できなかったり、喉を詰まらせることもあります。

宅食やお惣菜で噛む力や飲み込む力が弱い人が注意したいものは?

注意点

はんぺんやがんもが水分を奪ってしまうという話をしましたが、お惣菜などの既製品でもチャーハンやピラフなどに注意。

パサつきある食品のため、やはり口内の唾液を奪ってしまいかねません。

またパスタなどの麺類も注意したいメニュー。

パスタやラーメンはコンニャクのように弾力があり、なかなか噛み切れずにたくさん飲みこんで喉を詰まらせてしまうことがあります。

そして料理では、酸味の強い酢の物もNG

梅干しを想像するだけで唾液が出る、そんな噂は試したことがありますか?

言い換えれば酸味の強い食品はそれだけ唾液が必要になるわけで、唾液が少なくなっている状況では食べづらいと感じてしまうんです。

一方で、問題ないメニューがお惣菜でも複数ありそうなら、タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維といった成分が得られるかも確認してみましょう。

咀嚼や嚥下と直接は関わらないものの、高齢の方はこれらの栄養が不足しがちです。

噛みにくい、飲みこみにくい状況になっていると、食事そのものも控えめになり、より栄養が補えなくなるので、食べられる機会があるなら利用しましょう。

外食時に噛む力や飲み込む力が弱い人でも安心な料理は?

一方噛む力や飲み込む力が弱い方でも食べられるのは、柔らかく水分も多い料理。

主食ではおかゆやパンがゆなどがおすすめです。

メインの主菜は、肉にしろ魚にしろ、肉をミンチにしたハンバーグやつみれなどが向いています。

素材を細かく、また柔らかく煮込むという点では、シチューやポタージュなどもおすすめ。

酸味以外は、さほど影響が大きくないので、食べる方の好みであればカレーも候補に挙げられます。

そして特に安心な料理が多いのはデザート。

ゼリーやヨーグルト、アイスクリームなど、柔らかく水分も気にせず食べられるメニューが良いですね。

成分表示などの確認は必要ですが、ゼリーなら材料のフルーツなどからビタミンを、ヨーグルトならカルシウムをと、栄養もカバーできる点は魅力的です。

噛む力や飲み込む力が弱い人の食事の注意点や対策まとめ

まとめ

歯の本数や舌・喉の筋力低下によって噛む力や飲み込む力は弱まってきます。

本人ができる対策としては、毎日の食事でしっかり噛むなどのトレーニング、柔らかいものばかリ食べない、歯や口内を歪ませる癖の矯正が挙げられます。

一方で、家族や介護をしている方も、食べやすい食事を選ぶサポートをしましょう。

食べにくい素材をさけて食べやすいメニューにする、料理の柔らかさや小ささがポイントです。

ただ極端に小さいものだと飲み込む力が弱い方にとっては誤嚥のリスクもあるので、個人個人でどの程度可能かを見極めましょう。

惣菜など既製品を購入する際も、大きさや柔らかさに注意し、気になるようなら食べる前により小さくカットするなどひと手間加えるのもよいです。

歯や舌の悩みに関係なく、安心して食事ができる環境をキープしてあげましょう。

森 水絵森 水絵

今は、噛む力や飲み込む力が弱い人専用に柔らかくした宅配食「やわらかダイニング」は美味しいと口コミでも人気ですね。
母にも食べさせたかったなと思いました。
手作りと併用すると介護者の負担も少なくなりますね。
詳しくは→ウェルネス やわらかダイニングの口コミ評価!栄養面や美味しさは?